白い朝日に包まれて思わず目を伏せる。
清清しい朝の香りを吸い込みながらボクは歩き続ける。
異邦人
「旅人の兄ちゃん、外の面白いお話しを聞かせておくれよ!」
「そうそう!何か面白い話してよ〜村にしかいないから、つまんない!」
ふと寄りかかった村で夜更けまで歩き続けた体を休めていると、子供たちがここぞとばかりに群がってくる。
子供はとことん知識や娯楽に貪欲だ。
仕方ないなあなんてやんわり呟きながら、頭の中でぐるぐると模索するこないだの国のお話をどう話そうかと考えた。
「とある国のむかしばなしで、処刑人の通る道があるんだそうだ」
「へええ!なあにそれ、処刑人?」
「そう、悪い人たちに罰を与える人達だ。けれどその処刑人達は特殊ならしくてね、そう簡単に人目に入らないようにしている」
「???」
意味があまり通じてないのか、子供たちはぽかんとしたような呆けた顔をしている。
言葉足らずでなんだか悪いなあなんて苦笑いしながら再び口を開いた。
「その処刑人達は、国の王様がもしもの時逃げる道を通っているんだ」
「ふぅん・・・?じゃあ王様、逃げれないんじゃない?」
「・・・そうだね、あそこの国は・・・」
罪人に罰を与えるために存在する処刑人。
処刑人に隠れるように人身売買を繰り返す王。
幸せで裕福な暮らしをする人々の目から隠れる処刑人。
普段は会うことはない王と処刑人が鉢合わせた、その時こそ
あの国の最後の姿なのだろう。
「旅人の兄ちゃんってなんで旅をしているの?」
「ん〜?旅?さあねえ」
「宝探し?」
「違うよ」
「じゃあ結婚相手探してるんだ!」
「それも違うかなあ」
あてずっぽうにあちらこちらから様々な声が飛び交うけれど、どれもこれも全く検討外れで思わず笑ってしまった。
みんな、未来に繋がることを考えていて、ほほえましくて。
「ボクは、自分の墓場を探しているんだよ」
「え?」
さて、そろそろいくね
そう言い捨ててまた足をのらりくらりと傾けた。
ああ、今日はどこへいこうかな
風の向くままに、
足の向くままに。
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