「いつか!いつか必ず返すから!」






そう言って彼はボクから借りた500円玉を握り締めて来た時のように猛ダッシュで廊下をかけていった。







思えば今までに彼に貸した物はたいてい帰ってこない。




小学生の時に初めて出会ったときに貸した消しゴムだとか、遠足の時に渡したまま帰ってこないハンカチだとか、シャーペンだとか、ボールペンだとか、挙句には弁当箱まで持ってかれたままだ。



他にもきっと掘り起こせばもっとわらわら出るのであろう予感に重々しく溜め息をついた。




「おい〜なんで溜め息ついてんの?悩みか?」

考えてる傍から悩みの種の彼が再び帰ってきた。

今日は弁当を忘れて学食らしい。



「まあ、そんなとこだよ」



「ん〜何かあったら言えよ?いつか相談のってやっから!」

なんの悪びれもなく彼は口癖の”いつか”を再び口にした。


「お前の”いつか”はあてにならんな」


「んなこというなよ!そんなことないだろ〜?」


「今まで物も何もかも貸した物や約束も守ってきた試しがない」

呆れながらそういうと彼は少し押し黙ってからやがてこう口を開きやがった。



「だらしなくないとお前が構ってくれないじゃないか」


ああもうコイツも俺も重症なんだ。