僕は最大の敵と今、戦っている。
眉目秀麗にして文武両道、謹厳実直な僕にとっての最大の敵と言えよう、目の前に佇む緑、元は丸み帯びていてがっしりとしている。
こいつは強敵なのだ。
すべすべとした肌を持ち、色彩鮮やかな緑を基調とするコイツ、大人には何故か好かれ、ちやほやされて人気者だ。
全く大人はコイツがどれだけ嫌なヤツかわかっていないに違いない。
見た目はしっかりと中身のあるヤツに見えるにも関わらず、意外と中身はスッカラカンなとんでもないやつだ。
猫を被っているというのを知っているにも関わらず、大人には好かれるコイツ、気に食わない。
大人たちいわく、この緑の敵の良さは大人じゃないと分からないらしい。
僕だって十分大人なはずなのに、わからないなんておかしいじゃないか。
・・・やっぱり他の大人達は騙されてるに違いない!
こんなエイリアンみたいな色をしたやつのどこがいいんだ・・・
「・・・ちょっと、早くしてくんない?」
「は?」
じーっと目の前の緑をにらみつけてると頭上から声が上がる。
クラスメートの隣の席の女の子だ。
「それ、そのピ・・・」
「言うなああああああああ!」
はあ?とでも言いたげに彼女は眉をしかめた。
どうやら彼女もこの緑のコイツの恐ろしさをわかっていないらしい。
「いいか!こいつの恐ろしさをどうやら君はわかっていないらしいな!」
今から僕が説明してやるから安心するがいいよ!
「はぁ?アンタ頭大丈夫?」
「第一に名前なんて呼んではいけないんだ!こいつは猫かぶりでそれでいてこんな色をしているんだぞ!」
するとそれを聞いて興味が沸いたのか他のクラスメートまでもがぞろぞろとここぞって僕の机に集まってくる。
・・・いいぞ、いいぞ!
これでコイツの猫かぶりも表に出るんだ!
ざまあみろ!と心の中でほくそ笑んでいると無情なことにもクラスメートAがこう叫んでくれた。
「せんせー!○○君がー!」
「ピーマンのこしてまーす!」
「だから名前を呼んではいけないんだああああああああああっ!」
彼の受難
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